【凡作】レッド・スコルピオン_ホットパンツでザクマシンガン乱射(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(1989年 アメリカ)
『ランボー/怒りの脱出』や『コマンドー』のエピゴーネンで、映画としての出来は決して良くはないのだが、クライマックスのド派手すぎる戦闘で多くを取り戻しており、アクション映画としては決して間違っていないと思う。

感想

小学生の頃にゴールデン洋画劇場で見たけど、小坊目線でもあんまり面白くなくて、その後には特に見返しても来なかった映画。

なんだけど、最近、ウルトラプライスと銘打たれたブルーレイがAmazonで800円台で叩き売りされているのを発見した。

大手の廉価盤ブルーレイが1000円前後で売られていることはザラで、もはやこの価格帯を「ウルトラプライス」と呼ぶのは大袈裟すぎるとも感じたが、懐かしのゴールデン洋画劇場版と同じ吹き替えが収録されているということが分かったので、即購入した。

本作のような誰からも気にかけられていないB級映画において、吹替版をつけるという心遣いはとても貴重だ。

実は本作の字幕版はAmazonプライムで配信されており、プライム会員ならば無料で鑑賞できるのだが、ソフトメーカーさんの心意気に応えたいという私の思いもあって、ディスク版を購入させていただいた。

ドルフ・ラングレンの声は大塚明夫さんというのはもはや法律で決まっているが、その他、富田耕生さん、田中信夫さん、玄田哲章さんと、この吹替は何とも豪華で聞かせてくれる。

金払ってよかったと心から思った。

内容はと言うと、80年代に数えきれないほど製作された『ランボー/怒りの脱出』(1985年)及び『コマンドー』(1985年)のエピゴーネンであり、監督はチャック・ノリス主演『地獄のヒーロー』(1984年)のジョセフ・ジトー。

この概要から推して測れる通り、映画としては大したことがない。

ドル扮するソ連特殊部隊員ニコライは、上官よりアフリカの反共組織リーダーの暗殺を命じられる。脱走兵を装って組織に潜り込むニコライだが、正体を見破られて暗殺には失敗する。

前半のこの流れにおいて、一切の緊張感がないのが凄い。ジョセフ・ジトーのまったく拘りのない演出には恐れ入った。

正体を見破られたニコライは砂漠に捨てられ、通りかかったキューバ軍に拘束されて拷問を受ける。

その拷問とは長い針を体にぶっ刺すというもので、『リーサル・ウェポン』(1987年)の電気ショック拷問に影響されて付け加えられたものだろうと推測されるが、これがまったく痛そうに見えないことも問題だった。なんという演出の下手さ加減だろうか。

安心しきったキューバ軍は拷問担当者一人だけをドルの元に残すという愚を犯し、ドルはあっさりとその一人を片付けて脱走を図る。悪の組織には、ヒーローへの拷問は一人で行うべしという決まりでもあるんだろうか。

脱走したドルは砂漠で行き倒れ、通りかかったブッシュマンに命を助けられる。そこからはしばしドルとブッシュマンの交流が描かれ、自分は何の映画を見ているんだか分からなくなる。何度見ても、この場面が必要だったとは思えない。

そうこうしつつも反共革命家の村に舞い戻るドルだったが、村はソ連軍に破壊され、リーダーは死の間際。そこでドルは「やり返すぞ!」と叫び、どさくさに紛れて反共組織のリーダーとなる。

ここで突如、映画は白人酋長もの(©町山智浩)に切り替わるわけだが、ここからクライマックスにかけての見せ場の連打は素晴らしかった。映画は終盤で多くを取り戻したと思う。

軍服のズボンの丈を短く詰めまくった結果、ホットパンツのようになったドルの出で立ちはどうかと思ったが、その姿でソ連軍の基地に攻め込み、怒涛の勢いで制圧するというバカバカしい見せ場には、80年代アクション映画の良さが凝縮されていた。

そこら中で景気よく爆破が起こり、ヒーローが大胸筋をブルブル震わせながら発射した弾丸は、大勢の敵をまとめて葬り去っていく。このアバウトな見せ場こそが最高なのである。

戦いの最中にドルは、ひときわでかいマシンガンを入手する。でかい銃身にドラムマガジンが乗っかったその銃は、見たところザクマシンガン。

ホットパンツ姿でザクマシンガンを乱射するドルの姿には何とも言えない浪漫が宿っていた。

ザクマシンガンは威力がヘビーすぎて、飛び立たんとする敵の攻撃ヘリをも半壊させる。ありえねぇ描写なのだが、このくらい突き抜けてくれると気持ちがいい。

こういうサービス精神こそが80年代的であり、本作を嫌いになれない理由となっている。

スポンサーリンク
公認会計士のB級洋画劇場