【良作】ホワイトハウス・ダウン_とても楽しいアクション映画(ネタバレあり・感想・解説)

軍隊・エージェント
軍隊・エージェント

(2014年 アメリカ)
笑いとスリルと男らしさのバランスが絶妙であり、娯楽アクションとしては実に良い仕上がりとなっています。1億5千万ドルという豪勢な製作費もきちんと画面に反映されており、作り込まれたホワイトハウスのセットなども見ていて楽しめます。

作品解説

エメリッヒ20年ぶりのアクション映画

監督はローランド・エメリッヒ。ご存知西ドイツ出身の破壊王であり、彼の映画で人類は何度も何度も滅亡の危機に瀕しました。

そんなエメリッヒが純粋なアクション映画を手掛けるのはヴァンダム×ラングレンの『ユニバーサル・ソルジャー』(1992年)以来のことなのですが、ポテンシャルの高い監督なので本作もレベルの高いアクションに仕上がっています。

なお、エメリッヒは自分で脚本を書き、プロデュースも自ら行うことが多いのですが、例外的に本作は『ゾディアック』(2007年)のジェームズ・ヴァンダービルドのオリジナル脚本を実写化するための雇われ監督として関わりました。

興行的には苦戦した

本作は2013年6月27日に全米公開されたのですが、『モンスターズ・ユニバーシティ』(2013年)、『デンジャラス・バディ』(2013年)、『ワールド・ウォーZ』(2013年)に敗れて初登場4位と低迷。その後も持ち直すことはなく5週目にしてトップ10圏外となり、全米トータルグロスは7,310万ドルに留まりました。

国際マーケットでも伸び悩み、全世界トータルグロスは2億536万ドル。一応ヒットはしているものの、1億5千万ドルという高額な製作費には不十分であり、ソニーは本作を赤字であると発表しました。

感想

豪華セットを見よ!

そのタイトルが示す通り、ホワイトハウスという舞台が本作のテーマでもあるわけです。

これをどう表現するのかが見せ場のひとつだったのですが、この点、競合作『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年)は序盤でガンシップの攻撃を受けたということで瓦礫の山&夜の暗闇で結構誤魔化していた部分がありました。

予算制約の厳しさをアイデアでカバーした『エンド・オブ~』の創意工夫も天晴れだったのですが、本作はその点に一切の誤魔化しをしていません。

真っ昼間を舞台にホワイトハウスの内部構造をばっちり見せてくるのですが、どのセットも重厚かつラグジュアリー感溢れており、本物にしか見えません。よくこれだけ作り込んだものだと感心しました。

他にも、作戦の指揮を執るペンタゴン指令室としてバカでかいセットが組まれているし、ちょっとだけ登場するエアフォースワンの内装も驚くほどしっかりとしています。『エンド・オブ~』と見比べると、本作の金のかけ方がいかに凄かったかが分かります。

子連れで採用面接に行くルーズな主人公

本作の主人公はジョン・ケイル(チャニング・テイタム)。元戦友のコネで入った議会警察にて下院議長の身辺警護を担当しているのですが、実はシークレット・サービス志望。

なぜシークレット・サービスを志望しているのかというと、離婚で別居中の娘のエミリー(ジョーイ・キング)がホワイトハウスマニアであり、そんな娘にいい恰好をしたいためでした。

で、ケイルはシークレット・サービスの採用面接に臨むのですが、「ホワイトハウスに入れるよ」と言って娘エミリー同伴で面接にやってきます。日米で文化の差異はいろいろありますが、おおらかなアメリカ基準でも子連れで面接に行くなんてNGではないでしょうか。

経歴面でもいろいろと穴のあるケイルは、「あなたルーズよね」と採用担当にして次席特別警護官のマギー・ギレンホールからこっ酷い評価を受けます。

うなだれて面接室を出るケイルですが、部屋の外で待っているのは娘。こういうところを見られたくないので人は子連れで採用面接になど来ないのですが、「感触はどうだった?」と聞いてくる娘に対して本当のことを言えず、「ああ、まぁ良い感じだったよ」と数日でバレるような嘘をついてしまいます。

そういうところよ、ケイル。

バディ・アクションは定番ならではの安定感

その後、いろいろあって隣の議事堂が爆破された後、ジェイソン・クラークにホワイトハウスを占拠されます。

直前にエミリーとはぐれていたケイルは、テロリストの監視網を掻い潜りながら娘を探してホワイトハウス内をうろうろするのですが、そこでテロリストに連行されているソイヤー大統領(ジェイミー・フォックス)を発見。

銃撃戦の末にケイルは大統領を救出し、ここにシークレット・サービスを不採用になった男と大統領のバディが誕生。対照的な者同士を組ませるというハリウッド伝統のバディ・アクションのフォームに収まったことで、ここから映画は抜群の安定感を示し始めます。

戦闘をしていない時には二人のコミカルな会話で間がしっかりと繋がれているし、いざ戦闘が始まると戦い方を知らない大統領が場を引っ掻き回す役割になって盛り上げるしと、1+1=2以上の化学反応がちゃんと起こっています。

銃とかバズーカ砲を撃つ時に大統領がメガネをかけて、それによって命中率が上がるというベタなギャグが何度も登場するのですが、逼迫した場面で真面目な顔をしてふざけたことをやる、しかも観客にイライラを与えずにやるという芸当をジェイミー・フォックスが完ぺきにこなしています。

そういえばこの人はコメディアンとして世に出たんですよね。銃を撃つときの絶妙な下手さ加減と言い、やっぱりプロの仕事は凄いなと思います。

チャニング・テイタムは戦闘の度に薄着になっていき、最後はタンクトップ一枚に。『ダイ・ハード』(1988年)へのオマージュとのことなのですが、ブルース・ウィリスとは対照的な彼の肉体美は一つの見せ場と化しています。

意外とよく出来た敵の設定

ホワイトハウスを占拠するという大それたことを思いつき、かつ、それを実行に移せる能力のある敵って一体どんな奴らなのか。

ホワイトハウスを知り尽くした大統領首席警護官(ジェームズ・ウッズ)がそのリーダーであり、シークレット・サービスが持つ監視対象者リストから兵隊を選抜。現政権への反感と作戦遂行に必要なスキルを併せ持つ危険分子に声をかけて軍団を作ったというアイデアには「その手があったか!」と声をあげそうになりました。

で、この首席警護官は中東和平を目指すソイヤー大統領を売国奴と考えており、このままソイヤー外交を続けていると国家の危機だと思ったのでクーデターを起こすに至ったというわけです。

演じるジェームズ・ウッズを純粋悪としては描かず、彼なりの信念と一定程度の思慮分別のある人間として描いているので、ちょっと『ザ・ロック』(1996年)のエド・ハリスっぽくもありました。こういう悪役は好きです。

ジェームズ・ウッズを説得するために国防総省はその奥さんを現場に呼び寄せるのですが、彼らの目論見とは裏腹に「あなた!やっちゃって!」と叫ぶので、尚のことやる気を出すというやりとりも最高でした。

また大統領継承順位第3位の下院議長が計画のバックにいて、さらにその背後には戦争がなくなると商売あがったりになる軍産複合体がいて、それら黒幕の存在により荒唐無稽な計画を実現に移すまでの準備ができたという設定もよかったです。

リアリティがあるとまでは言わないものの、2時間のアクション映画を維持させるだけの説明にはなっているなと。

また出た!エメリッヒの愛国心いじり

『インデペンデンス・デイ』(1996年)で最終決戦を前に「今日は人類の独立記念日だ!」と兵士達を鼓舞するビル・プルマン大統領の演説にはなかなか燃えるものがあったのですが、その直前にはためく星条旗を大写しにするなど、「これ、イジってる?」と思わせるような構成に違和感がありました。

西ドイツ出身の出稼ぎ監督であるエメリッヒが本心からアメリカ万歳などと考えているはずがないのに、なぜここまで過剰に愛国心を押し出すんだろうかと。

そんな極東の一映画オタクの違和感など大した問題ではなかったようで、アメリカの観客たちからの全幅の信頼を得たエメリッヒ監督は独立戦争もの『パトリオット』(2000年)に挑みます。

そのクライマックスでは星条旗を掲げたメル・ギブソンが押され気味の自軍を鼓舞し、ついには戦況をひっくり返すという展開があって、ここで完全にイジっているなと確信。

で、本作ですが、エメリッヒの愛国心いじりはクライマックスにやってきました。

空爆を命じられたF-22がホワイトハウス上空に飛来するのですが、大統領旗を振るエミリーの姿に心動かされて現場判断で爆撃を中止。大統領旗の権威と、アメリカ人少女の勇気と、心優しい兵士の咄嗟の判断により最悪の事態が回避されるという、とってもアメリカンな終わり方をします。

いま豪快にいじりましたよね?エメリッヒさん。

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