ロボコップ2【駄作】毒気のサジ加減を間違えている(ネタバレあり・感想・解説)

(1990年 アメリカ)
バーホーベンの模倣をして失敗した作品であり、残酷描写をやるにも一定の哲学が必要であることがよく分かります。完全武装の殺人マシーンロボコップ2号機絡みの描写だけが救いであり、フィル・ティペットのコマ撮りを楽しむためだけの作品だと割り切りましょう。

あらすじ

ヌークと呼ばれる新型麻薬を追いかけるロボコップは、その元締めであるケインを逮捕する。重体で病院に収容されたケインはオムニ社が進めるロボコップ2号開発計画の被検体とされ、麻薬王の精神とロボコップ以上の武器と装甲を持つ危険なサイボーグが誕生する。

スタッフ・キャスト

前作公開後より続編の企画があり、オリジナルに関わったポール・バーホーベン、エドワード・ニューマイヤー、マイケル・マイナーはアイデアを出していました。彼らによって書かれたスクリプトも存在していたようなのですが結局は採用されず、バーホーベンは『トータル・リコール』(1990年)の監督を依頼されて『ロボコップ』の続編からは去って行きました。

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監督は『帝国の逆襲』のアーヴィン・カーシュナー

バーホーベンが去った後の監督は『リバース・エッジ』(1986年)のティム・ハンターに決定していたのですが、ある程度の作業を進めた後にハンターも去って行き、最終的に『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』(1980年)のアーヴィン・カーシュナーが引き受けました。ルイス巡査役のナンシー・アレンはカーシュナーの手腕に相当な不満があったらしく、公の場でも彼を批判していました。

アメコミ界の重鎮フランク・ミラーが脚本に参加

前作の脚本家チームが去った後の脚本は、『バットマン:ダークナイト・リターンズ』や『シン・シティ』などで現代最高のアメコミ作家とも言われるフランク・ミラーに委託されました。

フランク・ミラーによるシナリオは素晴らしかったようなのですが、当時の技術では撮影不可能だったために『ワイルドバンチ』(1969年)のウォロン・グリーンによる改変を受けました。ミラーは毎日撮影現場に来るほど本作に思い入れを持っていたのですが、どんどん書き換えられていく内容にショックを受けていたようです。2003年には、ミラー版に忠実なコミックが発表されました。

感想

前作から逆行したドラマ

テレビを通して荒れた世相が映し出され、警官はストライキに入ろうとしている。本作の世界観やその描き方は前作を踏襲しているのですが、ロボコップことアレックス・マーフィのドラマまでが元に戻っているのはどうかと思います。

前作のラスト、悪の黒幕だった副社長ジョーンズを銃撃し、「良い腕だね。君の名は?」とオールドマン会長から聞かれたロボコップが「マーフィ」と名乗る爽快感がたまらなかっただけに、再度マーフィがメカ扱いに戻っているという本作のドラマにはガッカリさせられました。

作品前半では彼が機械か人間か、人権はあるのか、それともオムニ社の固定資産なのかという前作の議論がぶり返されるのですが、前作のラストで一応の答えが出ていた話をもう一回振り出しに戻してどうするんだろうと思いました。挙句、この議論は途中で有耶無耶にされて終わってしまうのですが、こんなに中途半端にするのなら、ロボコップの人権問題の再掲は必要なかったと思います。

オムニ社会長が悪人になっていてガッカリ

オムニ社は悪の組織だったものの、そのトップに居るオールドマン会長は部下達のやっているえげつない商売をよく知らないご老人という風情だった点が前作の味だったのですが、本作では完全に悪人として描かれている点も気に入りませんでした。

直接に社の指揮を執ってデトロイト市に対して横柄に振る舞い、途中からは色仕掛けで迫るジュリエット博士の言いなりになって人殺しまでを黙認するようになります。

いやいや、そういうことじゃないんですよ。この人は社の美しい理念を信じ、本人には悪いことをしている自覚のない善き老人だからこそ味があったんですよ。積極的に悪事に加担し始めるとせっかくバーホーベンが作り上げた善とも悪とも言えない絶妙なキャラが死んでしまうし、美しい理念と実際にやっていることの乖離した巨大官僚組織の恐ろしさも後退してしまいます。

毒気が効きすぎている

作品に登場する麻薬組織のナンバー2は子供。子供が銃をぶっぱなすわ、ルイス巡査の首を絞めるわでやりたい放題。さすがに引きました。最後に子供が死ぬという展開もいただけませんね。その他にも、街では少年野球チームが街の電気屋を襲って略奪をしていたりと、子供ネタは結構心に堪えました。

残酷描写もパンチが効きすぎています。ケイン一味に捕まったロボコップがバラバラに解体される場面は悲惨過ぎたし、ヘラヘラと笑いながら彼を傷つける悪党達の嫌らしさも度を越していました。ケインの脳の摘出手術はグロすぎるし、その描写が本編に活きているようにも見えないためにただやり過ぎただけの場面となっています。

確かに前作もディレクターズ・カット版がMPAAからX指定を受けるほど過激でしたが、そこにはバーホーベンならではの写実主義があって、バイオレンスとはこういうものだという彼なりの哲学が残酷描写に意味を持たせていたのですが、本作の場合はバーホーベンの模倣をしてやり過ぎてしまったという状態で、不快感だけが残りました。

ロボコップ2号の壮絶さ

そんなこんなで欠点の多い作品なのですが、唯一、ロボコップ2号機だけは素晴らしすぎました。

鋼の巨体と圧倒的な火力、全身に仕込まれた特殊武装を誇る堂々たる悪役ぶり、ロボコップでも歯が立ちそうにない威風には目を見張るものありました。CGなど使い物にならない時代なのでコマ撮りで製作されているのですが、その動きの細やかさも良くできています。

ロボコップ2号機の威風を見よ!
http://dbgtkai.blog.fc2.com/blog-entry-119.html
ガトリング砲がうなる
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これをクリエイトしたのは前作のED-209に続きフィル・ティペットなのですが、ロボコップ1号vs2号の戦いが20分間に渡って延々と繰り広げられるラストバトルには壮絶な職人魂を感じました。

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