ザ・コア【駄作】ウソのつき方がヘタすぎ(ネタバレあり・感想・解説)

(2003年 アメリカ)
次々に浮かんでくる疑問の数々に、物凄くバカな話を演技派俳優達が真剣に演じているというシュールさ。本作を見ると、バカだなんだと言われているマイケル・ベイやローランド・エメリッヒの映画が、実はよくできているということが分かります。

©Paramount Pictures

あらすじ

ペースメーカー使用者の突然死、スペースシャトルの計器トラブル、鳥類の異常行動など、全世界で不可解な騒動が起こる。当初、アメリカ政府は他国からの攻撃を疑っていたが、シカゴ大学教授ジョシュ(アーロン・エッカート)が地球内部の回転が停止したことによる電磁場の異常であることを突き止める。そして、この状況を放置すれば地表は太陽風の直撃を受け、1年後に生物は絶滅するとの予測も出される。この危機に対し、地球内部に潜行し核爆発によって回転を再開させるとの計画が立てられる。

スタッフ・キャスト

監督は『コピーキャット』(1995年)のジョン・アミエル

1948年ロンドン出身。70年代からテレビ界で活躍しており、80年代後半より映画界に進出して、ジョディ・フォスターとリチャード・ギアの共演で話題になった『ジャック・サマースビー』(1993年)をヒットさせました。

『セブン』(1995年)の一か月遅れで公開されて大惨敗を喫したサイコサスペンス『コピーキャット』(1995年)や、キャスリン・ゼタ・ジョーンズの美しいボディラインしか記憶に残らなかった『エントラップメント』(1999年)など、アレな映画を多く作っています。

当初、本作は『カプリコン・1』(1977年)のピーター・ハイアムズが監督する予定だったのですが、降板によりアミエルが就任したという経緯があります。

コピーキャット_話が支離滅裂【2点/10点満点中】

脚本は『トランスフォーマー』(2007年)のジョン・ロジャース

コリン・ファレル主演の青春西部劇『アメリカン・アウトロー』(2001年)やハル・ベリー主演の『キャットウーマン』(2004年)の脚本家で、マイケル・ベイ監督の『トランスフォーマー』(2007年)の初期稿も執筆しました。

テレビアニメや漫画の世界でも活躍しており、またテレビドラマ『レバレッジ 〜詐欺師たちの流儀』(2008-2012年)ではエグゼクティブ・プロデューサーも務めました。

主演は『ダークナイト』(2008年)のアーロン・エッカート

1968年カリフォルニア州出身。大学で映画学を学んだ後に、モルモン教の宣教師として2年間フランスとスイスで過ごしました。『エリン・ブロコビッチ』(2000年)でのジュリア・ロバーツの恋人役で注目を浴び、『サンキュー・スモーキング』(2005年)でゴールデングローブ主演男優賞にノミネートされました。

大ヒット作『ダークナイト』(2008年)でトゥー・フェイスを演じたのですが、ヒース・レジャー扮するジョーカーが注目を独占したために、トゥー・フェイスは話題にすら上りませんでした。

本作のシナリオを受け取ったのは911直後であり、先行き不安な社会情勢の中で良いギャラをもらえる仕事だということで、つい魔が刺して引き受けてしまったと言っています。

感想

ウソの付き方が下手すぎる

この手の映画は楽しんでナンボなので科学考証にはいちいちこだわらない主義なのですが、観客に対するウソのつき方がうまいかどうかは気になります。荒唐無稽な話であっても2時間観客を騙していられればアッパレと思う一方で、本作はウソのつき方が恐ろしく下手くそなので恐れ入りました。

心臓ペースメーカーつけてる人多すぎ

冒頭、ベンチャー起業家と思われる若い男がプレゼンの場で突然絶命し、建物の外を見るとそこら中で車の衝突事故が起こっています。これは電磁場の影響で心臓ペースメーカーが止まったことが原因のようなのですが、5人に1人くらいの割合でペースメーカー付けているのかというほどの密度で、「さすがにそんなに多くないよ」とツッコミを入れてしまいました。

危機の内容が分からなすぎ

ジョシュ(アーロン・エッカート)の調査により、世界中で起こった異変の原因は地球の核の運動が止まって電磁場が発生しなくなったことであり、この状態を放置していると太陽風がモロに地表に届くようになって、生き物は全滅するということが判明します。

…って意味わからん

この手の危機って、隕石が地球に衝突するとか、世界中の火山が爆発するとか、殺人ウィルスの流行とか、ダイレクトに死や破壊を連想できるものじゃないとダメだと思います。核の運動停止→電磁場消滅→太陽風って、致命的な危機に至るまでいくつの事象を挟んでるんだって感じです。

加えて、太陽風が怖いというイメージが観客の側にないので、アーロン・エッカートに「太陽風が直撃するぞ!」と言われても、「ふ~ん、それで?」としかなりません。

これを説明する場面も噴飯もので、軍隊の緊急会議なのに机上にはなぜかフルーツが大量に置かれていて、ジョシュはその中から桃を手に取って、引火させたスプレー噴射で桃の表面を焼いて「これが1年後の地球です」と言います。

これを見せられて感じたのは「そんなに大変なことが起こるのか!」ではなく、「地球的危機を話し合う会議室に、なぜ山盛りフルーツ?」でした。

バージル号が超科学すぎ

ともかく核の運動を再開させなきゃいけないということで、地球の外核部分にまで行って核兵器を炸裂させるという、ハリウッドお得意の解決策が提示されます(地球の”核”と兵器の”核”が並んで、とても紛らわしい)。

「でも外核になんて一体どうやって行くんだ」「できそうな奴に心当たりがある」ってことで、ネバダ砂漠で一人研究を行っているデルロイ・リンドー扮するブラズ博士の元へと向かう一行。

ブラズ博士の研究内容は驚異です。熱と圧力を受ければ受けるほど強度を増し、さらには受けた熱と圧力をエネルギーに変換できるという夢の超合金を開発。加えて、地球内部の高密度の岩石・鉱物を破壊して掘り進めるための超音波粉砕機もほぼ完成段階にまで持っていっています。たった一人で。

こんなとんでもないものを砂漠のど真ん中で人知れず開発していて、基礎研究部分はすでに終わっていたとか、凄いどころの話ではありません。

しかも人類史を変えかねないほどのこれらの発明をしてまでやりたかったことが、掘削船バージル号の開発なんですね。おおよそ外核に核兵器を仕掛けに行くことくらいにしか役立たなさそうな掘削船を作りたいという夢のために、こんな大発明を2つもしているという目的と成果物の見合わなさ加減が凄すぎます。ブラズの頭脳の1/10でも事業目的で使っていれば、今頃大金持ちになっていたと思いますよ。

この冴えないおっさんが大天才にして人類の救世主ブラズ大先生
https://www.imdb.com/title/tt0298814/mediaviewer/rm453351424

またこれだけの超科学が組み合わされながら、ついに陽の目を見たバージル号がアホみたいな仕様なのが笑わせます。小さなユニットを連結させて細長い船体を形作っており、破損が生じたユニットを切り離すというロケット鉛筆みたいな構造になっているのですが、もっとも重要な居住ユニットが、あろうことか先端部にあります。ロケット鉛筆だって先っちょから順番に捨てていくのに、その先端部に最重要ユニットを置くとか一体何を考えてるんだか。

精神論で何とかなりすぎ

あと凄かったのがブラズの最後で、核兵器投下のためバージル号のユニットを切り離さねばならないが、そのためには5000℃にまで上昇した最後尾ユニットに誰かが行って手動で操作しなきゃいけないって話になり、それにブラズが志願します。

しかし問題は防護服の耐久温度が2500℃ということで、室温との差は実に2500℃。もはや熱さを我慢すれば何とかなるってレベルではなく、人体を構成している物質がもたないので土台無理な話なんですが、ブラズはド根性で2500℃の差を乗り越えて切り離し作業をやり遂げます。もう無茶苦茶ですね。

集団アクションとして失敗している

バージル乗組員はこの6人です。

  • ジョシュ(アーロン・エッカート):パルスか何かの研究者。
  • ベック(ヒラリー・スワンク):スペースシャトル操縦士。バージル号でも操縦担当。
  • アイバーソン船長(ブルース・グリーンウッド):スペースシャトル船長。バージル号でも船長。
  • ブラズ博士(デルロイ・リンドー):バージル号の開発・設計。設計者がなぜ乗り込む必要があったのかは謎。
  • ジムスキー博士(スタンリー・トゥッチ):地球物理学者、多分。本プロジェクトで一体何を担当しているのかは最後まで分からない。
  • サージ博士(チェッキー・カリョ):兵器研究者でバージル号では核兵器のコントロールを担当。家族を愛する心優しきフランス人という設定なのに、専門分野が兵器という点のギャップが凄すぎる。

軍人や作業員ではなく科学者を乗せているという点が他のディザスター映画との差別化ポイントだと思うのですが、乗組員各自の専門分野が不明確なのでミッションにあたって誰が何を担当しているんだかがよく分かりません。その結果、「こいつが死ぬとミッションの達成が危うくなる」という緊張感が生まれていません。

不明瞭な中で考えてみると、最後まで生き残っておくべきは操縦士のベックと、核兵器管理のサージだったと思います。しかしサージは2番目に死んでしまうし、サージが死んでも核兵器のコントロールは専門外であるはずのジョシュとジムスキーの二人でも問題なくこなせていました。

最終的には、誰が危険なジョブを引き受けるかをくじ引きで決める始末。「死ぬ可能性の高い役割をくじ引きで決められる=誰が死んでもミッションの遂行に支障ない」という受け取られ方になると、なぜ分からなかったんでしょうか。

専門外の人間にでも可能なことならそもそも専門家を乗せずに、ストレスのかかるミッションへの対応力のある軍人や作業員を乗せておけばよかったんじゃないかって話にもなります。専門家による分業というものを意識した構成にして欲しいところでした。

湿っぽい話が危機感を削いでいる

この映画、なまじ演技派俳優を使っているせいで湿っぽい話に流れていきがちなんですが、そのことが逆に危機感を削いでいます。

例えば破損したユニットにサージが取り残され、ジョシュが「サージを助けるから扉を開けろ!」と騒ぐ場面。人間の甘っちょろい倫理観が通用すると思っている時点で、高温高圧の地殻内部を舐めてんのかって話になるわけです。

全員が人の死に対してやたら敏感なのですが、それって生きて帰れると思っているからこそであり、そのことが危機の矮小化に繋がっています。

そこは、全員が死ぬ覚悟でミッションに参加し、「お前はミッション継続のためにまだ死ねないから、役割を終えた俺が死んで来るわ」みたいなドライな駆け引きのあった『サンシャイン2057』(2007年)のようにして欲しいところでした。

サンシャイン 2057_論理的で見応えあり【8点/10点満点中】

軍の陰謀要素は要らなかった

中盤にて、この騒動は軍が極秘で開発した人工地震発生装置によるものということが明らかになります。

しかし人為的に引き起こされた問題であるということでむしろ危機が矮小化されているし、科学者を集めて「何が起こっとるんじゃ」とやっていた導入部分と整合しなくなっています。

また、焦った将軍が人工地震装置を再度動かそうとし、ジョシュ達科学者が「やめろ!余計におかしくなる!」と忠告しても無視して断行しようとする、まんま『アルマゲドン』(1998年)な展開も余計でしたね。

せっかく科学者を集めて最適なプランを何か月もかけて準備してきたのに、ド素人の軍人が突然しゃしゃり出てきて、「一か八かもう一回スイッチを押してみよう」という馬鹿げた理屈で意思決定に割り込んでくるなんて、酷すぎて見ていられませんでした。

アルマゲドン【凡作】酷い内容だが力技で何とかなっている

かと言って突き抜けた面白さもない

いろいろ細かい文句を言ってきましたが、最大の問題は突き抜けた面白さがないことです。マイケル・ベイやローランド・エメリッヒの映画って、科学考証を気にしないからこその突き抜けた面白さがあって、そこが可愛げや醍醐味になっているのですが、本作にはそれがありません。

「絶対にありえないけど物凄いものを見せていただいた!」との感動を覚えるほどのスペクタクルがないし、バカバカしくも盛り上がる山場もない。なまじドラマを真面目にやろうとしているので、おかしなバランスの映画になっています。

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