【まとめ】やらかした続編映画(前作は良かったのに…)

雑談
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大ヒット作には続編が検討されるのが世の常ですが、二匹目のどじょうを狙いに行くのもなかなか難しいもので、無惨に失敗する続編が後を絶ちません。そんな中でも、特に記憶に残るやらかし方をした続編5作をご紹介いたします。

キアヌ・リーブスにそっぽ向かれた『スピード2』(1997年)

1994年に20世紀フォックスが公開した『スピード』は、製作費3000万ドルの中規模作品ながら全世界で3億5040万ドルを売り上げる大ヒットとなり、主演したキアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックは大スターになりました。

当然のことながらフォックスは同じメンバーでの続編を望んで企画がスタート。

一時期はある高度以下に下がれない飛行機という案もあったのですが、最終的には『ダイ・ハード3』(1995年)のボツ脚本が流用されることに。

これはマクレーンとホリー夫妻がクルーズ船に乗り込むとシージャックに遭うという話で、1992年頃に製作する予定だったのですが、当時ワーナーが製作中だった『沈黙の戦艦』(1992年)と似ていたことから、脚本はボツにされました。

これを『ツイスター』(1996年)の脚本家ジェフ・ナサンソンがスピードの続編として書き直して最終稿を仕上げたのですが、この脚本の出来が悪いと感じたキアヌ・リーブスからは出演依頼を断られました。

本作以後、『地球が静止する日』(2008年)までの10年間は、キアヌのフォックス出禁状態が続くこととなります。

キアヌには離脱されたもののもう一人の主人公であるサンドラ・ブロックは1150万ドルの高額ギャラと引き換えに戻ってきてくれたし、ヤン・デ・ボン監督は続投。一応、続編としての体裁は整いました。

そして製作費は空前の1億6000万ドル。前作の5倍以上という凄まじい金額がかけられ、豪華客船が港町に乗り上げるクライマックスだけで2500万ドルも使う豪勢な映画となりました。

かくして本作は完成したのですが、キアヌの懸念通り脚本の出来が余りに悪く、肝心な場面でコミカルなやりとりが発生するなどおかしな温度感の映画になっていました。

見せ場にしても「このままいけばどんな問題が起こるのか」、「それを防ぐためにヒーロー・ヒロインは何をしなければならないのか」、「対応策を行うに当たっての障害物は何なのか」という情報整理がない中でアクションが始まるので、危機また危機の連続なのに手に汗握らないという状況となっています。

かくして本作は興行的に大失敗し、全世界での興行成績は1億6450万ドルで前作から53%も売り上げが落ちたのでした。

話の続け方に無理がありすぎた『ポセイドン・アドベンチャー2』(1979年)

『ポセイドン・アドベンチャー』(1972年)は、主にテレビドラマで活躍してきたプロデューサー アーウィン・アレンにとっては初の大作でしたが、製作費1200万ドルに対して興行成績が8400万ドルにのぼる大ヒットとなり、20世紀フォックスの財政難を立て直すほどの成功を収めました。

加えて批評面でも成功してアカデミー賞では9部門にノミネートされ、うち2部門(歌曲賞、視覚効果賞)を受賞。

この成功を受けてアレンはすぐに続編の構想に入ったのですが、転覆した船から脱出した後に続く話なんてそうそう浮かんでくるものではありません。

一時は、前作生存者達の乗った列車がトンネル崩壊で立ち往生するという泣きっ面に蜂どころではない話も考えられていたのですが、あまりに無理ありすぎで却下。後にこれはスタローン主演の『デイライト』(1996年)として復活することになります。

その後、原作者のポール・ギャリコが続編小説『海底の怒り』(1978年)を執筆。

前作生存者達がポセイドン号に戻ると、乗客の宝石類を狙ってやってきた盗掘屋や、金塊回収のため船主に雇われた海賊と鉢合わせるという、これはこれで物凄い話ではありましたが、何を狂ったかアレンはこれを映画化することに。

さすがに馬鹿馬鹿しいと感じたのかフォックスは手を引き、製作はワーナーに移りました。

脚色に当たっては『アンドロメダ…』(1971年)の脚本家ネルソン・ギディングが雇われたのですが、さすがにこのままでは厳しいと感じたのか、前作の生存者が戻ってくるという部分を丸ごと切ったり、対象物を宝石類からプルトニウムに置き換えたりと、全面的な改定を実施。

そして、演技派俳優を揃えて成功した前作を踏襲して、アレンは今回も豪華な俳優陣を揃えようとしていました。ジョン・ウェイン、バート・レイノルズ、クリント・イーストウッドら錚々たる顔ぶれに声をかけていたのですが、一様に脚本を読んで難色を示されるという状況でした。

結局、演技派なのに金さえもらえれば『ジョーズ’87復讐篇』(1987年)にも出るマイケル・ケインが主演となりました。

そしてアレン自身が監督に就任し、資金調達にも成功して製作費は1000万ドルと前作に匹敵する規模の大作となったのですが、豪華客船にプルトニウムが積まれているわ、沈みかけの船で銃撃戦をやるわと、常人にとって理解不能な話だったので客受けは最悪でした。

興行的にも批評的にも大失敗し、『ポセイドン・アドベンチャー』が作り上げた豪華スター共演のパニック映画というジャンルを、その続編が終わらせるという結果に終わりました。

なお、災害と強盗映画を組み合わせるという本作の試みは、後の『フラッド』(1998年)『ワイルド・ストーム』(2018年)などに繋がっていくのですが、そのどれもが成功していない不毛のジャンルであることは映画史上の重要な教訓です。

キャスト・監督の交代が痛すぎた『プレデター2』(1990年)

1987年に公開された『プレデター』は、製作費1500万ドルの中規模作品ながら全世界で9826万ドルを稼ぐヒットとなり、またアクション監督として伸び盛りだったジョン・マクティアナンと、アクションスターの頂点を狙っていた頃のアーノルド・シュワルツェネッガーが実現した異様なまでの勢いから、アクション映画ファンのハートを鷲掴みにしました。

ただし当初からフォックスが続編制作を望んでいたわけではなく、第一作公開後に出版されたコミックの評判が良かったことから、そのキャラクター性への期待値が高まって続編制作に踏み切ったとのことです。

前作に引き続き兄弟脚本家ジム&ジョン・トーマスが脚本を執筆。前作の主人公ダッチはプレデターを追跡しており、LAでの狩猟を開始したプレデターをロス市警ハリガン刑事と共に撃退するという話でした。

しかし脚本の出来が悪いとしてシュワルツェネッガーからは断られ、ダッチはキース特別捜査官という新キャラに変更。

そしてダニー・グローバーとゲイリー・ビジーという『リーサル・ウェポン』(1987年)の出演者2名がキャスティングされたのですが、脇役を演じることの多いこの2人では華に欠け、アーノルド・シュワルツェネッガーの抜けた穴を埋められませんでした。

また、前作のジョン・マクティアナン監督にオファーしたところ高額ギャラを求められたため、『エルム街の悪夢5』のスティーヴン・ホプキンスに変更。しかしホプキンスにマクティアナンほどの手腕がなかったことも痛恨でした。

かくして公開された本作の全世界興行成績は5712万ドルで前作から4割減という結果に終わり、フォックスは更なるシリーズの継続を断念して『エイリアンvsプレデター』を作ろうと本気で考え始めました。

ただし完全にダメな映画というわけでもなく、プレデターの性格付けを明確にして長きに渡る人気を維持する原動力ともなったことから、その功績は評価に値します。

脇役を主役に昇格させて失敗した『追跡者』(1998年)

1993年に公開された『逃亡者』(1993年)は全米で1億8387万ドルを稼ぎ出し、『ジュラシック・パーク』(1993年)に次ぐ年間第2位という大ヒットとなりました。

加えて、娯楽アクションとしては例外的に批評家受けも良く、アカデミー賞では6部門にノミネートされ、うちトミー・リー・ジョーンズが助演男優賞を受賞しました。

この大成功を受けて続編が企画されたのですが、さすがにハリソン・フォードをもう一度逃亡させるわけにもいかないので、オスカーを受賞したトミー・リー・ジョーンズ扮するジェラード捜査官を主演に昇格させることに。

前作では護送車だった囚人の輸送手段は飛行機に変更され、逃亡の端緒となるクラッシュ場面は前作とは比較にならないほどのスケールアップをしました。

そして今回の逃亡者はウェズリー・スナイプス扮する元CIA工作員で、ロバート・ダウニー・Jr.扮する外交保安局員も追跡に絡んでくるという国際的規模の話に変更したのですが、肝心の話が面白くなかったので、作品の質は低下しました。

さらに不幸なことに『タイタニック』(1997年)の歴史的大ヒットに巻き込まれてしまったことから完全に埋没してしまい、めちゃくちゃに悪い出来というわけでもないのに、興行成績は全く振るいませんでした。

全米トータルグロスはわずか5716万ドルで、前作から7割減。売り上げの下落率ではダメ続編の中でも最も厳しい部類に入ります。

ジャンル自体を変えてしまった『バックドラフト2』(2019年)

この記事で紹介したダメ続編の中でも、一番悲惨かもしれないのがこの『バックドラフト2』(2019年)でしょう。なぜなら、他のダメ続編は一応知名度があるのに対し、『バックドラフト』(1991年)に続編があるということを知っている人すらほとんどいないからです。

また、他のダメ続編に共通する「前作のメンバーが集まらなかった」という問題も本作では発生しておらず、製作のブライアン・グレイザーとラファエラ・デ・ラウレンティスは続投、出演者ウィリアム・ボールドウィンとドナルド・サザーランドも続投、ロン・ハワード監督も製作総指揮として名を残しています。

そして脚本を書いたのも前作と同じグレゴリー・ワイデンなので、ほぼオリジナルメンバーが維持されているわけです。

前作から28年も時間が空いていることに着目しても、二匹目のどじょうを狙う映画会社から無理に作らされたという裏事情もなさそうであり、オリジナルメンバーがじっくりと時間をかけて企画を考えたにも関わらず、物凄い駄作ができたというナチュラルにダメな状況が発生しているわけです。

何がダメだったのかというと、そもそも火災消火の話にしていないことです。

主人公は消防士ではなく放火調査官であり、燃え盛る建物に背を向けて火災現場に集まってきた野次馬をじっくり観察しています。

で、ある放火現場を調べていくうちに新型ミサイルの機密を中国に売ろうとする国際的な陰謀に気付くという話になっていくのですが、『バックドラフト』の続編でこんな話を期待している人がこの世界のどこに居るのでしょうか。

これが面白ければまだいいのですが、肝心な部分をダラダラとしたセリフで説明するなどサスペンスとしても酷い出来で、褒めるべき部分がまったくないという壮絶なことになっています。

本作は劇場公開されず、ビデオスルーという扱いを受けました。

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